膀胱炎

膀胱炎とは

頻尿、排尿時痛、残尿感、尿混濁、下腹部不快感などの症状を呈する膀胱の炎症で原則として発熱は伴いません。

一般的には既往歴がなく妊娠していない閉経前の成人女性の膀胱炎は単純性膀胱炎と言われます。

好発年齢

多くは 20 歳代を中心とする性的活動期にピークが見られ、閉経前後の中高年期にもう一つのピークがあります。

原因

尿道にはたいてい少量の菌が存在し、性交などの機械的な刺激・動きが菌を膀胱内へ運び、それが増殖し、膀胱粘膜に炎症を起こし、膀胱炎となります。 解剖学的特徴から、女性の罹患率は男性の 5~6 倍とされています。

起因菌としては多くの場合は大腸菌であり、その他は ブドウ球菌、レンサ球菌などがあります。

  • 菌が増殖するためには膀胱内に尿が長時間留まることが必要になります。脱水状態で長時間トイレに行かないと膀胱内に菌が増殖し、膀胱炎を生じます
  • 膀胱に尿が多量にたまるなどで膀胱壁が極度に伸展すると、膀胱血流が低下し、免疫力が低下し、膀胱炎を起こしやすくします
  • 便秘・下痢・月経・性交など、侵入する菌の量が増加することもまたリスクを高めます
  • 加齢に伴って女性ホルモンが減少すると、腟内 pH が変化して腟内の大腸菌が増殖するため、女性ホルモンの低下も膀胱炎のリスクを高めます

加齢とともに菌の定着に対する種々の防御機能が衰えていくために膀胱炎を起こしやすくなるとも考えられています。

診断

膀胱炎の診断は、典型的症状+尿中白血球により容易に診断できます。必須ではありませんが尿培養を行うことも有効です。

鑑別疾患

尿道炎、外陰部・腟炎などが鑑別に挙がります

尿道炎

クラミジア、淋菌などによって尿道炎が生じ、排尿時痛などを生じることがあるため、疑った場合は婦人科で検査を受けてください。

外陰部・腟炎

トリコモナスやカンジダ、単純ヘルペスが原因で、外陰部や膣に炎症を起こし、排尿時痛など生じることがあるため、婦人科で視診や膣炎の検査が必要なことがあります。

この他、膀胱に腫瘍や結石があったりなどで膀胱炎様症状が続く場合があります。改善しない、再発を繰り返す、改善しても血尿が続くなどの場合は膀胱鏡検査や、画像診断を行いましょう。

治療

セフェム系やキノロン系の抗菌薬治療を3~7日間程度内服します。

予防

「菌の侵入」を防ぐには、陰部を清潔に保つこと、そして侵入した菌は外に出すことです。便秘・下痢・月経・性交など陰部の菌が増える状況では、陰部を清潔に保ち、ナプキンを使用しているならまめに交換をしましょう。性交の後には排尿をすることが推奨されていますが、そのためには性交前後にしっかり水分をとりましょう。 また侵入した「菌の増殖」を防ぐためには抵抗力をつけることも大切です。寝不足、過労、ストレスを避けるようにしましょう。そして脱水にならないよう水分をしっかりとりましょう。